語と語を組み合わせた造語で、印象に残る俳句を詠む

 まずは、次の三句をご覧下さい。
 筆者が若い頃に読んだ作品です。

  河鹿笛聞き湯上がりの内緒酒 (凡茶)
      河鹿笛=カジカ(蛙の一種)の心地よい鳴き声。

  糸取りの祖母逝きにけり雪解雨 (凡茶)
      糸取り=製糸工場の女工。

  新じやがや野風の先の田舎富士 (凡茶)

 これらはいずれも俳句の師から高く評価して頂いた自信作ですが、それぞれの句が、単語と単語を組み合わせて造り出した「自作の単語」を含んでいます。

 つまり、一句目の「内緒酒」は内緒と酒の二語を、二句目の「雪解雨」は雪解(ゆきげ)と雨の二語を、三句目の「田舎富士」は田舎と富士の二語を、私自身が組み合わせて用いた造語です。

 このような聞き慣れない、しかし、あまり不自然でない造語は読者の心の釣り針に引っかかりやすく、印象に残る俳句を生み出すことがよくあります。

 次の4つの名句の「竈猫(かまどねこ)」「教師妻」「高嶺星(たかねぼし)」「群青(ぐんじょう)世界」は、いずれも作者による造語ですが、一句の中の主役として生き生きと働いています。

  何もかも知つてをるなり竈猫 (富安風生)

  足袋つぐやノラともならず教師妻 (杉田久女)
      足袋=たび。

  高嶺星蚕飼の村は寝しづまり (水原秋櫻子)
      蚕飼=こがい。

  瀧落ちて群青世界とどろけり (水原秋櫻子)
      群青世界=瀧(たき)と、その周囲の山杉などから成る深い青色の世界。(凡茶の解釈)

 とくに風生の竈猫は、今ではもう独立した立派な季語として多くの俳人に愛用されています。

 語と語を組み合わせたオリジナルの造語を用いた俳句は、「言葉に無理をかけている」「小賢しさを感じる」などと辛口の評価を受けるリスクが高いのも事実なのですが…

成功すると他の誰にも真似できない名句・佳句になることも多いので、恐れずに、積極的にトライしてみることをお勧めします。



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 さて、俳句には、読者の心に響く美しい形というものがいくつか存在します。

 例えば、次の名句は、いずれも中七の後ろを「けり」で切り、座五に名詞を据える形をしています。

  ●凩(こがらし)の果(はて)はありけり海の音(言水)
  ●ひた急ぐ犬に会ひけり木の芽道(中村草田男)

 また、次の名句は、いずれも名詞で上五の後ろを切り、句末は活用語の終止形で結ぶ形をしています。 

  ●芋の露連山影を正しうす(飯田蛇笏)
  ●秋の暮大魚の骨を海が引く(西東三鬼)

 筆者(凡茶)も、名句の鑑賞を通じて、このような美しい俳句の形を使いこなせるようになることで、次のような自信作を詠むことができました。

  ●糸取りの祖母逝きにけり雪解雨(凡茶)
  ●露の玉工場ドスンと始まりぬ(凡茶)

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posted by 凡茶 at 22:29 | Comment(0) | より上手に俳句を作るコツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする