俳句の切れ・切れ字

 「季語」と「定型」の他に、俳句にはもうひとつ欠かせない要素があります。
 それは、「切れ・切れ字」です。

 俳句を江戸前の握り鮨に例えたとき、季語をネタ(魚)、それを受け止める定型をシャリ(酢飯)とするならば、切れ・切れ字は、味を引き締めるサビ(山葵)のように大事なものと言えるでしょう。

 ここでは、初心者に向けて、切れ・切れ字とは何かを、私なりに説明してみたいと思います。

一.切れ  ◆◆◆

 次の二句を見てください。

  @ 対岸の歩幅に合はせ青き踏み 
  A 引き出しの石握りしめ春を待ち

 動詞の連用形で終わっている上の二句は、散文的な訳文を書いてみると、次のようになります。

 @ 川の対岸を行く人と歩幅を合わせながら春の青草を踏み、
 A 引き出しの中にあった石を握りしめて春を待ち、

 つまり、@Aの訳文には、句読点のうちの読点「、」を打つをことはできますが、句点「。」を打つことはできません。
 そこで、@Aの句を、次のような俳句に改めてみます。

  B 対岸の歩幅に合はせ青き踏む (凡茶)  
  C 春待つや引き出しの石握りしめ (凡茶)

 こうすると、散文的な訳文を書いたときに、下のように句点「。」を打つことができます。

 B 川の対岸を行く人と歩幅を合わせながら春の青草を踏む。
 C 春を待つ。引き出しの中の石を握りしめて…

 このように、散文的な訳文を書いたときに句点「。」を打てる箇所、つまり、下の●を入れた箇所が、俳句における「切れ」の場所となります。

  B 対岸の歩幅に合はせ青き踏む● (凡茶)  
  C 春待つや●引き出しの石握りしめ (凡茶)

 俳句を作る際、初学の方は、@Aのような「切れ」の見当たらない俳句を作らぬよう心がけてください。
 歴史的な経緯は後日別のページで述べますが、俳句が俳句として成立するには、「切れている」部分が必要なのです。

 なお、ここでは、わかりやすさのために俳句という韻文を散文のように訳してみましたが、本来俳句は散文になおして味わうものではありません。
 韻文のまま、そのリズム、調べを楽しむものですので、常に散文化して解釈するような癖はつけないでください。


二.切れ字  ◆◆◆

 「切れ」の直前に置かれた単語を「切れ字」と言います。
 つまり、句中や句末において、表現を断ち切り、その直後に余情を生み出す語が切れ字です

 まずは、句中に切れ字のある俳句を、いくつか見てみましょう。
 ●の置かれた部分で俳句は切れています。

  D やどかりや●怪雲壊れただの雲 (凡茶)  
  E 尼寺の置きたるごみや●鶴渡る (凡茶)
  F げんげ田に放ちて追へり●竹とんぼ (凡茶)  
  G 糸取りの祖母逝きにけり●雪解雨 (凡茶)
  H 母さんに刈られし頭●青田道 (凡茶)  

 上の例においては、DEの切れ字は「や」、Fの切れ字は「り」、Gの切れ字は「けり」、Hの切れ字は「頭」となります。
 句中に切れ字がある場合、切れ字の直後に「間」が生まれ、その「間」が情趣を醸し出します。

 次に、句末に切れ字のある俳句を見てみましょう。

  I 豊年の星見て待てる始発かな● (凡茶)  
  J 鳴き砂にたんぽぽの絮埋もれけり● (凡茶)
  K ふらここの鎖に泥の乾きたり● (凡茶)
  L 蟷螂の共食ひ鎌を食ひ残す● (凡茶)  
  M 桜貝納めて贈るオルゴール● (凡茶)

 上の例においては、Iの切れ字は「かな」、Jの切れ字は「けり」、Kの切れ字は「たり」、Lの切れ字は「食ひ残す」、Mの切れ字は「オルゴール」となります。
 句末に切れ字がある場合、切れ字の直後に余韻が広がります。

 室町時代、連歌師の宗祇は、連歌の発句(俳句のもとになったもの。詳しくは、こちらをクリック)に用いる切れ字として、かな、けり、もがな、し、ぞ、か、よ、せ、や、れ、つ、ぬ、へ、ず、いかに、じ、け、らんの18字を挙げました。

 しかし、俳句の作者が「切ろう!」という意思を持って用いた語は、全て切れ字になり得ると私は考えています。
 例えば、上に示した例のうち、「り」「頭」「たり」「食い残す」「オルゴール」の各語は、宗祇の挙げた18字の中には入っていませんが、例句の中では、切れ字としての役目をしっかりと果たしています。

 松尾芭蕉はこのことに関して次のように言っています。

   「切字に用ひる時は、四十八時皆切字也。用ひざる時は、一字も切字なし」 


三.切れ字の代表格 〜や・かな・けり〜  ◆◆◆

 上では、俳句の作者が「切ろう!」という意思を持って用いた語は、全て切れ字になり得ると述べました。
 ただ、数多くある切れ字の中でも、「」「かな」「けり」の三語は、特に強く詠嘆の意が込められる切れ字の代表格と言えます。

 ですから、初心者は、この三つの切れ字を意識して多用し、早めに扱いに慣れる必要があります。
 別のページで「」「かな」「けり」のそれぞれについて、用い方などを詳述しています。



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俳句の作り方 〜初心者入門と季語・切れ字の使い方〜
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「や」 〜代表的な俳句の切れ字@〜

 切れ・切れ字のページで、「や」「かな」「けり」の三語は、特に強く詠嘆の意が込められる切れ字の代表格であると述べました。
 このページでは、その三語の中でも特に頻繁に用いられる「や」の用い方や効果を説明します。

一.どのような語の後ろに「や」を付けられるか?

 切れ字の「や」は、体言(名詞・代名詞)、活用語(動詞・形容詞・形容動詞・助動詞)の終止形・連体形・命令形、助詞など、様々な語の後ろに付けることが可能です。

 このことは、「かな」が体言または活用語の連体形の後ろに付き、「けり」が活用語の連用形の後ろに付くと決まっていることとは対照的です。
 この付き方の自由さは便利なようで、かえって初心者を悩ませます。

 しかしながら、歳時記などに載っている俳句を見ると、切れ字の「や」の大半は名詞の後ろに付けられていることがわかります。

  荒海佐渡に横たふ天の河 (松尾芭蕉)

  名月煙はひ行く水の上 (服部嵐雪)

 初学の方は、まずは名詞に「や」を付ける練習から始めてください。

 また、動詞の終止形と連体形、形容詞の終止形の後ろに「や」の付いた俳句も比較的多く見出されます。
 例を見てみましょう。

  柿食ぶあからさまなる灯のもとに (中村汀女)

 この句は、動詞「食ぶ」の終止形に「や」が付いています。

  時雨るる我も古人の夜に似たる (与謝蕪村)

 この句は、動詞「時雨る(しぐる)」の連体形に「や」が付いています。

  長閑し雨後の畠の朝煙り (小林一茶)

 この句は、形容詞「長閑し(のどけし)」の終止形に「や」が付いています。

 名詞に「や」をつけることに慣れてきたら、次は、動詞の終止形・連体形や形容詞の終止形の後ろに「や」を付ける練習を始めてください。
 これが出来るようになれば、「や」の付け方はもう十分マスターしたと言えるでしょう。


二.俳句のどこに「や」を置くべきか?

 下に例を示した通り、切れ字の「や」は、俳句の様々な場所に置くことが可能です。

ア) 上五の最後に「や」が置かれた句
  菜の花月は東に日は西に (与謝蕪村)

イ) 中七の最後に「や」が置かれた句
  入りかねて日もただよふ汐干潟 (堀麦水)

ウ) 中七の途中に「や」が置かれた句
  底叩く音余寒の炭俵 (黒柳召波)

エ) 座五の最後に「や」が置かれた句
  夏の月ごゆより出て赤坂 (松尾芭蕉)
      ごゆ=御油。御油と赤坂はともに東海道の三河の宿。二つの宿場はとても近く、短夜の儚さを連想させる。
      出て=「いでて」と読む。

 これらの型のうち、特に用例が多いのは、上五の最後に「や」が置かれたアのタイプと、中七の最後に「や」が置かれたイのタイプです。
 下にいくつか例を並べておきますので、まずはこの2つの型をマスターするとよいと思います。

 特に、@〜Bのような、○○○○や(上五)/○○○○○○○(中七)/…名詞(座五)の型の俳句は基本中の基本ですから、徹底的に作り込んで慣れてください。

■■
  @夏草兵どもが夢の跡 (松尾芭蕉)
      兵=つはもの。

  A新じやが野風の先の田舎富士 (凡茶)

  Bかなかな文字の小さき置き手紙 (凡茶)
      かなかな=ヒグラシの鳴き声。

  Cしまく夜少年紅を試したる (凡茶)
      しまく=強く吹雪く。

■■
  D垣寄りに若き小草冬の雨 (炭太祇)

  E蝋燭のうすき匂ひ窓の雪 (広瀬惟然)

  F朱の点となりし気球雪だるま (凡茶)

  G雌らしき亀の二郎花月夜 (凡茶)


三.切れ字「や」を用いて得られる効果

 切れ字の「や」は、その直後に俳句の切れ目を作り、間(ま)を生み出します。
 そして、その間からは言外の情趣が醸し出され、読者の頭の中で広がります。
 例えば、次の句を見てください。

  涼しさや鐘を離るる鐘の声 (与謝蕪村)

 この句、上五と中七の切れ目に「や」の作った間(ま)があります。
 そのため、上五を読んだ時点で、読者はその間を埋めるように、様々な事物を頭に思い浮かべます。

 汗ばんだ体を洗ってくれるような夕の風、まだ明るさの残る空に灯る星たち、昼の暑さから解放されて精気の戻った市井の人々等々…。

 つまり蕪村の句は、「や」が生み出した間によって、上に述べたような心地よい空間を読者に連想させ、その上で、中七・座五でこれまた心地よい鐘の音を読者に聞かせているのです。
 もし、この名句を、次のような、切れ字「や」を用いない句に変えてしまうとどうでしょう?

  涼しげに鐘を離るる鐘の声
 
 言外の情趣がほとんど湧かない句になってしまうことがおわかりいただけると思います。

 もう一句例を見てみましょう。

  煎じ茶や人待つ宿の雪女 (儀久)

 この句の場合は、「や」の直後の間(ま)から、茶を煎れる音、その音の背後にある静けさ、その静けさの奥底にある恐れのようなものが、ずっしりと心に伝わってきます。
 この句から切れ字の「や」を取り去ってしまうとどうでしょう?

  茶を煎れて人待つ宿の雪女

 やはり雪女への畏怖があまり伝わってこない句になってしまうようです。

 切れ字の「や」は、その直後の間(ま)に、趣き、深み、感動などを生み出し、膨らませる効果を持つ、俳人にとって素晴らしい道具です。

 また、「や」は、散文調の凡庸な句を、味わいのある韻文に高めてくれる力も持っています。
 初学の頃から大いに使って、扱いに慣れていきましょう。



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「かな」 〜代表的な俳句の切れ字A〜

 切れ・切れ字のページで、「」「かな」「けり」の三語は、特に強く詠嘆の意が込められる切れ字の代表格であると述べました。
 このページでは、その三つの切字のうち、「かな」の用い方や効果について説明します。

 なお、古句には「かな」を漢字で「」と表記している作品が多いのですが、初心者向けの当サイトでは、わかりやすさのため、例句の「かな」を全て平仮名に直して掲載してあります。

一.俳句のどこに「かな」を置くべきか?

 「かな」は句末、すなわち一句の一番最後に置くのが原則です。

 「かな」という切字を用いると、切れの直後に余韻が生まれ、その余韻はすぐさま大きく膨れ上がります。

 ですから、その大いなる余韻の後ろに何らかの言葉を続かせても、「かな」の前に置いた言葉と一体感が生まれず、まとまりのない一句になってしまうのです。

 以下の名句においても、「かな」は、句の一番最後に置かれています。

  さまざまの事おもひ出す桜かな (松尾芭蕉)

  野ざらしを心に風のしむ身かな (松尾芭蕉)

  石工の鑿冷したる清水かな (与謝蕪村)
      石工=いしきり。  鑿=のみ。

  うら門のひてりでに明く日永かな (小林一茶)
      明く=開く。

  どかどかと花の上なる馬ふんかな (小林一茶)

 「かな」を上五や中七に置く例外的な俳句も有るには有るのですが、初心者には、句末に「かな」を置く作り方を、しっかりとマスターしてほしいと思います。

  嘘一行文に書き足す炬燵かな (凡茶)
      炬燵=こたつ。

二.どのような語の後ろに「かな」を付けられるか?

 「かな」は名詞、または活用語(動詞・形容詞・形容動詞・助動詞)の連体形の後ろに置きます。
 俳句においては、特に名詞に付くことが圧倒的に多いので、初心者は、まずは名詞に「かな」をつける練習をしてください。

■ 名詞(赤字)の後ろに「かな」を置いた俳句の例

  村の灯へ舟遠ざかる浮巣かな (凡茶)

  アイヌ地名散らばる陸奥の銀河かな (凡茶)
      陸奥=むつ。東北地方のこと。

  定期船明日より減る時雨かな (凡茶)

 名詞の後ろに「かな」を置くことに慣れてきたら、活用語の連体形に「かな」を付ける練習に移りましょう。
 以下の名句が参考になると思います。

■ 動詞の連体形(赤字)の後ろに「かな」を置いた俳句の例

  鮟鱇もわが身の業も煮ゆるかな (久保田万太郎)
      鮟鱇=あんこう。 業=ごう。

  牡丹雪その夜の妻のにほふかな (石田波郷)

■ 形容詞の連体形(赤字)の後ろに「かな」を置いた俳句の例

  冬の月寂莫として高きかな (日野草城)
      寂寞=せきばく。

  初富士のかなしきまでに遠きかな (山口青邨)

 なお、稀にですが、名詞や活用語の連体形以外の言葉にも、「かな」が付くことがあります。
 例えば、次の蕪村の名句の場合、動詞「愛す」の終止形の後ろに「かな」が置かれています。

  二もとの梅に遅速を愛すかな (与謝蕪村)

 文法は人々に言葉の用い方を強制するものではなく、人々が用いてきた言葉の中から後の人が発見した秩序、あるいは傾向にすぎません。
 ですから、文法の教科書とは異なるこうした例外があるのは、ごく当たり前のことなのです。

 ただし、初心者は、「“かな”は名詞、または活用語(動詞・形容詞・形容動詞・助動詞)の連体形の後ろに置くもの」という基本を、まずはしっかりと身につけるべきでしょう。


三.切れ字「かな」を用いて得られる効果

 切れ字の「かな」は、その直後にジワーッとした余韻を醸し出し、それを大きく、かつ、やんわりと膨らませます。
 例えば、次の句を見てください。

  さまざまの事おもひ出す桜かな (松尾芭蕉)

 この句を読み終えると、胸に沁み込んでくるような優しい余韻を感じませんか。

 雲のように咲き誇る桜の花、その控え目な色、霞のかかった空、さまざまな事を乗り越えて来た人物の慈悲と憂い…
 そんなイメージが渾然一体となって、やんわりと頭の中に膨らんできませんか。

 この余韻の膨らみこそが、切れ字「かな」の生み出す最大の効果であると思います。
 もし、上の芭蕉の名句から、「かな」を取り払ってしまったらどうなるでしょう。

  桜見てさまざまの事おもひ出す
 
 一句を読み終えた後の余韻が、あまり膨らむことなく、消えていくのがわかると思います。

 もう一句例を見てみましょう。

  嘘一行文に書き足す炬燵かな (凡茶)

 この句と、この句から「かな」を取り去った次の句を比較してみて下さい。

  炬燵にて文に書き足す嘘一行

 どちらの句が、炬燵の温もり、静かに流れる時間、人物の心の落ち着き等のイメージを膨らませてくれるかは、明らかであると思います。

 見てきた通り、切れ字「かな」は、味わい深く、かつ、柔らかい余韻を俳句に与える最高の道具です。
 
 初学の頃から積極的に用いて、自分の俳句をより豊かなものにして下さい。



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俳句がうまくなる100の発想法 ひらのこぼ著
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■ 似たような俳句ばかり作るようになってきたと感じたら、読むべき本です。


 この本の目次に並ぶタイトルから、ほんの一部を引っ張り出して並べてみます。

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 どうですか?
 目次の一部を眺めただけで、ハッと気付かされたような気になりませんでしたか?

 長い間俳句をやっているいと、「若い頃にも似たような俳句を作ったなあ…」と頻繁に感じるようになります。

 私もずっとそのような状態から抜け出せないでいましたが、この本と出合うことで、それまでの自分とは違った視点で、新鮮な俳句が詠めるようになってきたと感じています。

 俳句作者として10年ほど若返ることができたような、そんな気持ちになっています。

追記:
 著者のひらのこぼ氏は、他にも興味深い本をいくつか書いておられるので、以下に紹介しておきます。

俳句がどんどん湧いてくる100の発想法

俳句発想法 100の季語

俳句名人になりきり100の発想法






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posted by 凡茶 at 06:56 | Comment(0) | 俳句における切れ字の使い方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


「けり」 〜代表的な俳句の切れ字B〜

 俳句の切れ・切れ字のページで、「」「かな」「けり」の三語は、特に強く詠嘆の意が込められる切れ字の代表格であると述べました。
 このページでは、それら三つの切字のうち、「けり」について詳しく勉強します。


一.どのような語の後ろに「けり」を付けられるか?

 「けり」は活用語、すなわち、動詞、形容詞、形容動詞、助動詞の連用形の後ろに置きます(接続します)。
 以下の例を参考にしてみてください。

■ 動詞の連用形(赤字)の後ろに「けり」を置いた俳句の例

  @月天心貧しき町を通りけり (与謝蕪村)
      月天心=つきてんしん。天頂の辺りまで上った月。

  A大根引大根で道を教へけり (小林一茶)
      この句では大根を「だいこ」と読む。大根引=大根を畑から引き抜く百姓。

  B作り滝止み照明の残りけり (凡茶)
      作り滝=人工の滝。

■ 形容詞の連用形(赤字)の後ろに「けり」を置いた俳句の例

  C赤とんぼ筑波に雲もなかりけり (正岡子規)
      筑波=筑波(つくば)山のこと。

■ 形容動詞の連用形(赤字)の後ろに「けり」を置いた俳句の例

  D琴の音のしづかなりけり震災忌 (山口青邨)
      震災忌=しんさいき。関東大震災の起こった九月一日。

■ 助動詞の連用形(赤字)の後ろに「けり」を置いた俳句の例

  E花ちりて木間の寺となりけり (与謝蕪村)
      木間=このま。木々の間。

  F御柱御幣を轢いて行きけり (凡茶)
      御柱=おんばしら。長野県の諏訪大社の御柱祭(おんばしらまつり)の際、町中を牽いて回る巨大な神木。
      御幣=おんべ。御柱祭の際、氏子(祭りの参加者)が手に持つ飾りのついた棒。
      轢く=ひく。

  G鶏頭が立往生をしたりけり (小林一茶)
      立往生=たちおうじょう。経ったまま息絶えること。ここでは、鶏頭が立ち枯れたことを指す。

 
 は完了の助動詞「ぬ」の連用形、たりは完了の助動詞「たり」の連用形です。

 そして、「けり」も「たりけり」も、「…てしまったなあ」「…たことだなあ」と、しみじみ感慨にふけるような感じを表わします。

 つまり、Eの蕪村の句は、「桜が散り、この寺も、木々の間にただ静かにたたずむ寺になってしまったことだなあ。」のような句意になります。

 また、Gの一茶の句は、「真っ赤だった鶏頭の花も、(弁慶の立往生のように)立ったまま枯れてしまったことだなあ。」のような句意になります。


 以上、@〜Gの例句を見てきましたが、皆さんが特によく作ることになるのは、@〜Bのような「動詞の連用形+けり」の俳句と、E,Fのような「動詞の連用形+に+けり」の俳句だと思われます。

 歳時記の例句などをお手本に、必ず作り慣れるようにしてください。


二.切れ字「けり」のある俳句の味わい方

 ここでは、初心者が、切れ字「けり」の付いた俳句をどのように味わったらよいか、そのコツを述べてみたいと思います。
 「味わい方(=読み方)」がわかってくれば、おのずと「用い方(=詠み方)」も上達してくるでしょう。

 「けり」は、それまで気付かずにいたことに「ハッ!」と気付いたときの感慨を表現する助動詞なので、俳句においても基本的にはそのように用いられていると考えればよいでしょう。
 例を見てみます。

  H枯れ芦の日に日に折れて流れけり (高桑闌更)

 この句は、「川辺の芦(アシ)も日に日に枯れて折れていき、気がつけばずいぶんと川に流されてしまったものだなあ。」のような句意になります。

  I鳴き砂にたんぽぽの絮埋もれけり (凡茶)

 この句は、「歩くとキュッ、キュッとなる浜辺の鳴き砂に、どこからか飛んできたたんぽぽの絮(わた)が、埋もれてしまったなあ。」のような句意になります。

 ここで、上の二句は、いずれも俳句の作者が、自分の外側で起こった出来事を詠んだものです。
 もし、作者の外側で起こった出来事ではなく、作者自身の行動を詠んだ俳句に「けり」がついていた場合は、その句をどう味わったらよいのでしょうか。

 この場合は、「けり」を「ハッ!」と気付いたときの感慨を示したものと捉えると、少し句を解釈しづらくなってしまうので、作者が自分のとった行動、あるいは、今とっている行動を顧みて、感慨にふけっている様子を思い浮かべればよいと思います。
 例を見てみます。

  J葱買うて枯れ木の中を帰りけり (与謝蕪村)
      この句では、葱を「ねぎ」ではなく「ねぶか」と読む。

 この句は、「買った葱を携えて、寒々とした枯れ木の中を、一人帰ってきたことだよ。」のような句意になります。

  K木に登りヨットの恋を眺めけり (凡茶)

 この句は、「沖で楽しそうにしている二隻のヨットを、僕は木の上から眺めているのだった…」のような句意になります。


三.俳句のどこに「けり」を置くべきか?

 「けり」は句末、すなわち一句の一番最後に持ってくるのが、最も基本的な用い方です。
 実際、和歌や俳諧には「けり」で締めくくられるものが多いため、「けりがつく」という慣用句が生まれました。

 最後が「けり」で終わる俳句の例を、いくつか見てみましょう。

■ 一句の途中に意味上の「切れ」のない例

  L心からしなのの雪に降られけり (小林一茶)
      しなの=信濃。今の長野県。

  M大蛍ゆらりゆらりと通りけり (小林一茶)

■ 上五と中七以下の間に意味上の「切れ」がある例

  N月天心貧しき町を通りけり (与謝蕪村)
      月天心=つきてんしん。天頂の辺りまで上った月。

  O赤とんぼ筑波に雲もなかりけり (正岡子規)
      筑波=筑波(つくば)山のこと。

 上に掲げた通り、句末に「けり」のある俳句を作る場合、上五と中七以下の間が、意味の上で切れるような作り方もよくします。

 例えば、例句Nでは、上五の「月天心」と中七以下の「貧しき町を通りけり」はよく響き合い、二物衝撃の効果を醸し出していますが、意味の上での直接の関わりはありません。

 例句Oの、「赤とんぼ」と「筑波に雲もなかりけり」も同じです。
 赤とんぼと筑波山という別々のものが、一つの文脈で結ばれることなく、一句の中で並存しています。

 私もそうでしたが、初心者の頃は、例句NOのような型の句をあまり作れないので、意識して詠み、身につけましょう。


■ 中七の最後に「けり」を置き座語に名詞を据えた例

 切れ字の「けり」は、一句の最後に置くのが基本ですが、中七の最後に「けり」を持ってきた俳句もたくさん存在します。

 また、この場合、座五は名詞にするとすわりが良くなります。
 以下の例句を参考にしてみてください。

  P大の字に寝て見たりけり雲の峰 (小林一茶) 

  Q島々に灯をともしけり春の海 (正岡子規)

  R糸取りの祖母逝きにけり雪解雨 (凡茶)
      糸取り=製糸工場の女工。


四.「や」「かな」の余韻と「けり」の余韻

 俳人は、「や」「かな」「けり」で俳句が切れると、その切れた部分に生じる独特の余韻を楽しみます。

 ただ、この余韻は、「や」「かな」と「けり」とでは、少し異なっているように思えます。

 私は、「や」と「かな」で俳句が切れると、その後にジワーッと広がるような余韻を感じます。

 一方、「けり」の後には、スーッと消え入るような余韻を感じます。

 俳句を作る際、あるいは鑑賞する際の参考にしてください。


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漢語林


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 この電子辞書には、他にも、百科事典や、日本と世界の文学作品(各1000作品)等、さまざまなコンテンツが収められていて、とにかく飽きません。
 世の中便利になったものです。




カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版
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■ 写真・絵の豊富な大歳時記です!


 『カラー版 新日本大歳時記』は、かつて春・夏・秋・冬・新年の全5巻に分けて発売され、大ベストセラーとなった歳時記です。

 “愛蔵版”は、その内容が一冊にまとめられたもので、購入しやすい値段となりました。

 この歳時記は、季語の詳しい解説や古今の名句に加え、写真や絵も豊富に掲載されていて、俳句の勉強になるのはもちろんのこと、鑑賞していて飽きない芸術性の高い一冊でもあります。

 私は、愛蔵版が出る前の全5巻を持っているのですが、この歳時記のおかげで俳人としてスキルアップし、かつ、日本の風土と文化の素晴らしさを再確認することができました。
 この歳時記は、私の俳句生活におけるかけがえのないパートナーであり、大切な財産でもあります。




俳句の作り方 〜初心者入門と季語・切れ字の使い方〜
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posted by 凡茶 at 04:56 | Comment(0) | 俳句における切れ字の使い方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


「や・かな」「や・けり」を避ける 〜切れ字の併用について〜

 切れ・切れ字のページで、「」「かな」「けり」の三語は、特に強く詠嘆の意が込められる切れ字の代表格であると述べました。

 このうち、「や」は上五で、「かな」「けり」は座五(句末)で用いることが多いため、初心者の頃は、次のような「や・かな」を併用した俳句、「や・けり」を併用した俳句を作ってしまいがちです。

  @ 睡蓮雨を喜ぶ少女かな
      睡蓮=スイレン。池や沼の面に赤や白の花を咲かせる。

  A 木登りヨットの恋を眺めけり

 このような俳句の作り方は、出来るだけ避けるようにしてください。

 「や」「かな」「けり」は、用いたその直後に余韻を生み出します。
 俳人は、「や」「かな」「けり」で俳句が切れると、その切れた部分に生じる独特の余韻を楽しむのです。

 しかし、17字の短い俳句の中に、「や」「かな」「けり」のような強い切れ字が2つもあると、余韻を味わうべき部分が2か所に分散してしまい、結局どちらも満喫できなくなってしまうのです。

 したがって、もし上の@Aのような俳句が出来上がってしまったら、次のBCのように、「や・かな」「や・けり」の並存しない俳句に直してください。 

  B 睡蓮雨を喜ぶ女の子 (凡茶)

  C 木に登りヨットの恋を眺めけり (凡茶)

 @Aより、BCの方がグーンとよくなったでしょう?


 ところで、「や・かな」の併用された俳句の例は、実際に極めて乏しいのですが、「や・けり」を併用した俳句は全くないわけではありません。

 例えば、次の名句では「や」と「けり」とが併用されています。

  降る雪や明治は遠くなりにけり (中村草田男)

 「や」と「かな」の後に続く余韻が、ともにジワーッと広がるようなものであるのに対し、「けり」の余韻はスーッと消え入るような感じがあるので、「や・かな」ほど「や・けり」は気にならないのかもしれません。

 しかし、「や・けり」の俳句が、草田男の句のような名句になることは極めて稀です。
 大概は、上のAのような失敗作になります。

 初心者の方は、「切れ字がわかった!」という自信が持てるまで、「や・けり」の俳句は避けた方が良いでしょう。

 俳人として十分に成長し、自然にできた句に「や」と「けり」が併存していて、実際に何度か読み返してもそれが気にならない場合にのみ、「や・けり」の俳句を自分の作品として認めてやると良いでしょう。


≪おすすめ・俳句の本≫

新版20週俳句入門 藤田湘子著
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■ どこに出しても恥ずかしくない俳句を詠めるようになる本です

 昭和63年に出された旧版『20週俳句入門』があまりにも優れた俳句の指導書であったため、平成22年に改めて出版されたのが、この『新版20週俳句入門』です。

 この本は、
   〔型・その1〕 季語(名詞)や/中七/名詞
   〔型・その2〕 上五/〜や/季語(名詞)
   〔型・その3〕 上五/中七/季語(名詞)かな
   〔型・その4〕 季語/中七/動詞+けり

 の4つの型を、俳句を上達させる基本の型として、徹底的に読者に指導してくれます。

 これらをしっかり身につけると、どこに出しても恥ずかしくない俳句を詠めるようになるでしょう。

 王道の俳句を目指す人も、型にとらわれない斬新な俳句を目指す人も、一度は読んでおきたい名著です。




俳句の宇宙 長谷川櫂著
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■ 俳句は深くて、面白いなあ… 心からそう思えた本でした!


 最も私の心をとらえたのは第四章「間について」
 この章を読み、俳句の「切れ」を「間」と捉え、その「間」をじっくり味わおうとするようになってから、既に目にしていた名句が、それまでとは違って見えてくるようになりました。

 また、第七章「宇宙について」も、面白くてあっという間に読んでしまいました。
 この章で、「造化」というものに関する著者の考え方を読んでから、芭蕉の時代の句に接する際は、その句が生み出される場としての「造化」というものを読み取ってみようと意識するようになりました。
 もちろん、私ごときが読み取ろうと思って読み取れるような浅いものではないのですが…

 とにかくこの本は、
 「自分が足を踏み入れた俳句の世界は、どこまでも深いんだなあ。そして、深みに潜れば潜るほど、新しい面白みに接することができるんだなあ… 」
 そんな気持ちにさせてくれる一冊でした。




俳句の作り方 〜初心者入門と季語・切れ字の使い方〜
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posted by 凡茶 at 00:25 | Comment(0) | 俳句における切れ字の使い方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


三段切れ(俳句の途中の二か所に切れが入ることについて)

■■ 初心者のうちは三段切れの俳句を作らない

 次の三つの俳句を見て下さい。
 どれも筆者の自信作です。

  新じやがや野風の先の田舎富士 (凡茶)

  薬屋に長話せり春隣 (凡茶)

  銀漢や砂場の山に旗一つ (凡茶)

 これらの句を、あえて「三段切れ」の俳句に作り変えてみます。

 「三段切れ」の俳句とは、句の途中の二か所に切れが入り、一句が三つの部分に分かれたような俳句のことをいいます。 
 「/」で切れの位置を示します。

  新じやがや/野風吹きたり/田舎富士

  薬屋や/長話せり/春隣

  銀漢や/砂場なる山/旗一つ
      銀漢=ぎんかん。天の川のこと。

 これらを声に出して読んでみて下さい。
 いずれの句もブツブツと断裂していて、元の俳句より読みづらくなっていることがおわかりいただけると思います。

 俳句はただでさえ短いので、それをさらに三つもの部分に切り刻んでしまうと、細かくちぎれた喉ごしの悪い蕎麦のようになってしまうことが多いのです。

 ですから、俳句を始めたばかりの頃は、三段切れの俳句は作らない方が無難でしょう。

 一句が出来上がり、もしそれが三段切れになっていたら、なるたけなおした方が良いでしょう。


■■ 三段切れの名句

 しかしながら、「三段切れ」は決して禁じ手ではありません。
 実際、過去には多くの俳人が三段切れの名句を生み出してきました。

 ここでは三段切れの俳句をいくつか見てみましょう。
 
 読者の皆さんも、俳句が上達したと自覚できた頃から、三段切れに挑戦してみて下さい。

● 三つの事物を並べた俳句

 次の三句は、異なる三つの事物を並べて、そこから生じてくる味を楽しもうとする三段切れの俳句です。

  目には青葉/山ほとゝぎす/はつ松魚 (山口素堂)
      はつ松魚=はつがつお

  梅/若菜/まりこの宿のとろゝ汁 (松尾芭蕉)
      まりこの宿=東海道の宿駅、鞠子宿のこと。当時、とろろ汁が名物であった。

  花曇/鉄の灰皿/固き椅子 (香西照雄)

 二句目は、これから東海道を旅する弟子の川井乙州に芭蕉が送った餞(はなむけ)の句です。

● 二つ部分が意味の上で一塊りをなす俳句

 次の二句は、三つのうちの二つの部分が形式的(文法的)には切れているものの、意味の上では一塊りをなしている三段切れの俳句です。

 一句目は、上五と中七が「子どもたちよ、昼顔が咲いたよ」という呼びかけ言葉として一つにまとまっています。
 二句目は中七と座五が一対の問答として、一つにまとまっています。

  子ども等よ/昼顔咲ぬ/瓜むかん (松尾芭蕉)
      咲ぬ=「さきぬ」と読む。

  初蝶来/何色と問ふ/黄と答ふ (高浜虚子)
      来=「く」と読む。

 ところで、筆者には三段切れの作品がなかったものかと、この記事を書くにあたり、古い俳句手帳をペラペラとめくってみました。
 すると、一句だけ三段切れの俳句が出てきました。

  呼ぶ鴉/答ふる鴉/花曇 (凡茶)
      鴉=カラス。

 この一句、今思うと、上五と中七が一対の呼応であり、意味の上での一塊りをなしているため、三段切れが気にならなかったのだと思っています。


≪おすすめ商品≫

歳時記の収録されている電子辞書
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CASIO エクスワード XD-D6500WE



 以前は、句会・吟行といえば、辞書や歳時記などを持参しなければならず、これが結構重いものでした。

 しかし、今は歳時記入りの電子辞書が登場したおかげで、ずいぶん持ち物が軽くなりました。

 例えば、左の電子辞書には、次の歳時記が納められています。

合本俳句歳時記 四訂版
現代俳句歳時記
(春・夏・秋・冬・無季)
ホトトギス俳句季題便覧


 また、次のような収録コンテンツも、きっと俳句の実作、吟行に役立つでしょう。

広辞苑 第六版
全訳古語辞典 第三版
漢語林


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カラー版 新日本大歳時記 愛蔵版
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 私は、愛蔵版が出る前の全5巻を持っているのですが、この歳時記のおかげで俳人としてスキルアップし、かつ、日本の風土と文化の素晴らしさを再確認することができました。
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タグ:三段切れ
posted by 凡茶 at 19:04 | Comment(0) | 俳句における切れ字の使い方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする