吟行・吟行句会

 俳句を作るために外歩きをすることを吟行と言います。

 複数人で出かける場合、景勝地や旧跡が吟行の場に選ばれることが多いのですが、どこにでもありそうな公園、川原、林地なども吟行の場となります。

 筆者は、実際にものや景色を見ずに、室内で俳句をひねり出すことも多いのですが、やはり吟行で得た句は、力強い作品になることが多いようです。

 次の句は、高校教師だった頃、宮城県の三陸海岸で実際に見た出来事をそのまま叙しただけの作品ですが、高い評価を頂きました。

  朝凪の海を拝みて杖拾ふ (凡茶)

 また、吟行で、景観や事物をじかに見る中でヒントを得て創作した俳句は、例えフィクションであっても、生き生きとした作品に仕上がるものです。

 次の句は、吟行に出かけ、山間の小さなダム湖の周囲を歩いた数時間後に、そこから遠く離れた滝壺で、夕闇をゆらゆらと舞う蛍を見て思いついたものです。

  村一つ眠るダム湖に螢落つ (凡茶)

 大学院生の頃に詠んだ未熟な句ですが、今でもお気に入りの句の一つです。

 皆さんもどんどん吟行に出かけ、素敵な句材と出会って下さい。


● 吟行句会

 吟行は一人でも楽しめますが、俳句結社の仲間たちと集団で出かけることもあります。

 その場合、吟行の後に、幹事さんが吟行地のそばに用意した会場(公民館など)で、句会が開催されるのが一般的です。

 このような吟行・句会から成る一連のイベントを吟行句会と言います。

 吟行句会で催される句会は、「句会の方法・進め方 〜俳句の投句・選句・披講〜」のページで紹介した一般的な句会と同じ方法で進められます。

 吟行後の句会では、自分と全く同じ景観・事物を句材としているのに、全く違うテイストに仕上がった俳句を他人が披露するなんてことがしばしばあります。

 また、自分が全く注目しなかった句材を、自分も一緒に歩いた場所から発見し、嫉妬するほどの佳句を同行者が生み出していたなんてことも起きたりします。

 そんな句会ですから、吟行句会の参加者は、普段の句会よりもより多くのことを学んだり、感じ取ったりすることが出来ます。

 俳句の上達を早めたければ、臆すること無く吟行句会に参加しましょう。


● 吟行句会における注意点

 さて、今後、吟行句会に参加してみようと考えている読者の皆さんには、一つだけどうしても述べておかなければならない注意点があります。

 それは、吟行中は「おしゃべりを慎む」ということです。

 気心の知れた俳句仲間と景勝地・旧跡に来ているわけですから、ついつい団体旅行の気分になって人に話しかけたくなるのもわかります。

 しかし、吟行の目的は創作であって、親睦ではありません。

 各々が黙って句作りに専念し、他人の創作活動を邪魔せぬよう心がけて下さい。

 俳句仲間との楽しいおしゃべりは、句会後の懇親会か帰路のマイクロバスまでとっておきましょう。



≪おすすめ・俳句の本≫

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 さて、俳句には、読者の心に響く美しい形というものがいくつか存在します。

 例えば、次の名句は、いずれも中七の後ろを「けり」で切り、座五に名詞を据える形をしています。

  ●凩(こがらし)の果(はて)はありけり海の音(言水)
  ●ひた急ぐ犬に会ひけり木の芽道(中村草田男)

 また、次の名句は、いずれも名詞で上五の後ろを切り、句末は活用語の終止形で結ぶ形をしています。 

  ●芋の露連山影を正しうす(飯田蛇笏)
  ●秋の暮大魚の骨を海が引く(西東三鬼)

 筆者(凡茶)も、名句の鑑賞を通じて、このような美しい俳句の形を使いこなせるようになることで、次のような自信作を詠むことができました。

  ●糸取りの祖母逝きにけり雪解雨(凡茶)
  ●露の玉工場ドスンと始まりぬ(凡茶)

 この本は、こうした佳句の生まれやすい美しい俳句の形を、読者の皆様に習得していただくことを目的としています。

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posted by 凡茶 at 20:33 | Comment(0) | 俳句会や吟行について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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